みらいネット – マンション管理士

古いマンションの状況と対策

国土交通省のデータによると、2023年末現在、日本には704万戸のマンションがあります。そのうち築40年以上経っているのは137万戸あり、10年後にはそれが約2倍、20年後には3.4倍になります。

1)居住の現状

居住の現状を見ると、完成年次の古いマンションほど高齢者の割合が大きいです。例えば昭和59年以前のマンションにおける60歳以上の割合は76.2%となっています。また、完成年次の古いマンションほど空室の割合が大きく、昭和59年以前のマンションでは59.7%のマンションに空室があります。

マンション居住者の永住意識にも変化が起きています。以前は永住意識が次第に増えていましたが、2023年末現在では60.4%のとやや減少し、17.7%がいずれ住み替えるとしています。

マンション購入の際に考慮する項目では、従来の①駅からの距離など交通利便性、②間取り、③眺望、④周辺の自然環境の重視から、現在は①日常の買い物環境、②建物の耐震性能、③共用部分の維持管理状況の重視へと変化して来ています。

2)マンションの管理状況

管理費等の滞納については、完成年次が古いマンションほど滞納がある割合が大きく、築40年以上のマンションでは43.5%のマンションで滞納が発生しています。

老朽化対策の議論の有無やその方向性については、建替え解体、修繕、改修の方向性が出た管理組合が13.3%、議論は行ったが方向性が出ていない管理組合が12.5%、議論を行っていない管理組合の割合が66.1%です。

管理組合の実態については、大規模修繕等、区分所有者の高齢化、役員のなり手不足、知識・ノウハウの不足、管理の適正化の課題を抱えていることが指摘されています。

以上のように、古いマンションでは、建替え解体、修繕、改修の必要性が高くなるのに、居住者は高齢者が多く、空室や管理費等の滞納が増える傾向にあり、そうした状況にありながらも対応がなかなか進んでいないことが分かります。

3)今後のことについて

どんなマンションでも、年数が経てば古くなるので、通常であれば上記のような状況になりがちです。では、どうすれば良いのでしょうか。

人は、どんなに健康に気を付けていても病気になったりして、その後どうなるか分かりません。でもマンションは、気を付けてさえいれば余程のことがない限り、その分確実に長く存在することができます。つまり、管理組合が維持管理に手を抜かなければ、当分の間はこれらの問題から解放されることが可能になります。

そして、維持管理が行き届いていれば、好循環を生みます。財産的な価値を保てるし、築年数が経っていても長く住めそうだと若い人が入居するので空室や滞納も減って来ます。したがって、維持管理を上手くすれば良いのであり、そのための適切な方法を管理組合が考えて実施することが鍵となります。

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